概要
日時:2019年12月
静岡県の安倍奥エリアにある十枚山という山に登ってきました。コースタイム6時間程度で南アルプス南部を一望できてお得な山です。思いのほか雪も積もっていて楽しい登山になりました。
登山レベル中
雪は積もっていましたが、登った時にはアイゼンが不要でした。道が悪い部分が多少あったので注意が必要です。
アクセス
マイカーでアクセスしました。新東名高速新静岡ICから1時間ほどです。
公共交通機関の場合は静岡駅から梅ヶ島温泉方面のバスに乗り、六郎木BSで下車後徒歩1時間20分で十枚山登山口に到着します。
行程
十枚山登山口~直登分岐~尾根コース~十枚山~十枚峠~下十枚山~十枚峠~沢ルート~直登分岐~十枚山登山口
コースタイム 6時間20分
十枚山登山記録
登るまで
3年ほど前から南アルプス南部に行きたいと思って、特に行く予定もないのに地図を買って妄想にふけっていました。ずっと行きたいと思ってはいるんですが、南アルプス南部はどうもアクセスが悪いのと長期間の日程が必要なので敷居が高いんですよね…。
そんな日々が続いていた中、南アルプス南部の名だたる山には気軽に登れないので、地図の裏面の深南部、安部奥とかの謎エリアにも興味を持ってくるようになってきました。もう雪が積もる時期になってきたので今シーズン最後の登山として、南アルプス南部の眺望がよいと言われる安部奥エリアの十枚山という山に登ってみよう!といった感じで思い付きで登ってきました。南アルプス南部エリアの地図を買って初めて登る山が十枚山とかいう人はあまりいないんではないでしょうか…?
私はマイカーでアクセスしましたが、登山の前にまず駐車場を探すのに苦労しました。地図には10台駐車スペースがあると記載されていましたが、全然どこに駐車スペースがあるのか分かりません。どこにあるのか分からず気が付いたら地図上の駐車スペースを通り過ぎて茶畑のところまで来ていました。
しかし大丈夫です。事前のリサーチで多少通り過ぎても路肩にも停めるスペースがあることは確認していました。ただし、終点はUターン困難とのことなのでビビりながら進んで行きます。結局終点から徒歩10分程度のところにUターンできそうないい感じのスペースがあったのでそこに駐車し、登山口に向けスタートしました。
林道を歩いていくと民家が見えてきます。民家に近づくと犬がこちらに近づいてきました。
写真だけ見るとかわいいですが、後ろからつけて来られたりして警戒されているように感じます。民家を横切る際にはまた他の犬に吠えられました。民家を通過して少し歩くと結構大きな犬3匹ぐらいに盛大に吠えられます。命の危険を感じたので民家に戻って農作業をしていたおばあさんに聞いてみました。
なんか大きな犬に吠えられるんですが大丈夫なやつですか?
あの子たちはうちの子よ〜。彼らも山に行きたがっているのよ〜。
ほんまかいな。のんきなばあさんやな〜
私には明らかに警戒されているように感じられたので納得いきませんでした。
仕方ないので通過しようとすると、結構な勢いで吠えられたものの意外とあっさりと通過できました。おばあさんの言ってたことは正しかったのかも?
そこから5分ぐらい歩くと林道終点に着きました。確かにUターンするのは困難ではありますが、できないというわけではないです。林道終点の少し手前にもスペースがあるのでここまで車で来てもよかったかな~と思いました。そうすると犬に吠えられて怖い思いをしなくて済むわけですし。
ということで登山口に到着しました。
登山口には「熊出没注意」の禍々しい看板があります。その隣には熊の出没情報と熊に遭遇した場合の対策が書かれた看板もあります。2019年のゴールデンウィークにも熊の出没情報があるようです。犬にかなりビビっていた私としては熊に遭遇しただけで死んでしまいそうです。
12月で寒くなってきているので熊はもう冬眠していると信じたいところです。でも万一冬眠していなかったらと考えると恐ろしいので一応熊鈴はつけます。
登山開始
熊の恐怖に打ち勝ち、歩みを進めます。犬の恐怖にも負けなかった私には怖いものなんてありません。
登山口から歩くこと20分程度で直登分岐に着きます。
ここまででもかなり急坂できついです。足場はよいのでゆっくり歩くのがいいでしょう。沢ルートは道が悪いとの情報があるので不安でしたが一応通行できるという記載がされていました。
このような登山道の崩壊の掲示がありましたが、事前のリサーチでこの掲示は昔のもので今は通行できるという情報をつかんでいました。この掲示がアップデートされていないということは通行できるということなのでひとまず安心しました。もし通行不可能になっている場合、登山口か直登分岐に何らかの記載があるはずなのでここで柔軟に対応できるように計画を立てておくのがよいと思います。今回は通行できるとのことなので計画通りに尾根ルートから登ります。
尾根ルートはひたすら急な登りが続きます。2時間で約1000m登るみたいなのでかなりの急登です。急登マニアの私にとってはたまらないスペックの急登です。あまり有名な山ではないので不安でしたが、道は比較的整備されているので歩きやすいです。
途中にルンゼの下端というポイントがあったようですが発見できませんでした。
1500mを越えたあたりから雪が積もってきました。まだ12月頭ということで凍結箇所はなく、アイゼンなどは必要ありませんでした。積雪量が多い年もあるかもしれないので今回は使いませんでしたが、念のためスパッツを持っていくことをおすすめします。
そしてこれといって大した眺望もないままひたすら急坂を登ること2時間、十枚山に到着しました!
山頂看板が二つありました。山梨のイメージがなかったのですが、実は静岡と山梨との県境だったんですね。
十枚山頂は開けていて眺望がよいです。ここまで誰一人会っておらず、山頂には誰かいるかな~と淡い期待を持っていましたが、誰もいませんでした。人がたくさんいるのも落ち着かないので好きではないですが、誰もいないのも不安になって落ち着きません。贅沢な悩みですね。
当初は山頂でゆっくり昼食を食べようと思っていましたが、風が強くて寒いので景色を楽しんですぐに出発することにしました。
十枚山の山頂はいい眺望です。南アルプス方面も見えますが(山伏、大無間、蕎麦粒あたりでしょうか)、一番見たい聖、赤石、荒川あたりの山々は隠れていてよく見えません。このあたりを見るためには下十枚山まで行かないといけないようです。
東側をみると駿河湾から伊豆半島までがよく見えます。山の上から海が見えるのっていいですね!天気の良い日は富士山も見えますが、今回は山頂付近が雲に覆われていてよく見えませんでした。
そしてこちらが次に向う下十枚山です。峠まで結構下らなければいけないことが分かります。
十枚山の山頂は良い山頂でした。景色を楽しみ、次の目標を確認したので出発しましょう!
十枚峠までは100mほど下るはずですが、体力的には思ったよりもしんどくはありません。ただ、南斜面なので雪が融けていて道がぬかるんでいたので気を使って疲れました。
しばらく進んでいくと十枚峠に到着しました。
十枚峠からは下十枚山方面へ向かいます。こちらは逆に北斜面なので積雪量が多くて体力が取られます。
しかし、それほど距離もありませんし、まさに冬って感じの景色を楽しめます。風景を楽しんでいるうちに眺望のよい場所へ出ます。
ここが間違いなく南アルプス南部一望できる展望スポットですね!いつか行ってみたい、そして行った後にはまたこの場所へ来て違った視点でもう一度この景色を見てみたい、そう思います。
道中にはつららがありました!刺さると痛そう。
展望スポットから5分ほどで下十枚山に着きます。
下十枚山の山頂は木が生い茂っていてさほど眺望が良くなく、一応山頂に着いただけといった感じでしょうか。
山頂看板の写真だけ撮ってすぐに引き返します。
そして最後に展望スポットで南アルプスを拝んで峠に戻ります。
やはり南アルプス南部の山々は雄大ですね!いつか登ってみたいと思います。
十枚峠からは沢ルートで帰りました。沢ルートの状態が悪いときには峠にも注意書きがされているそうですが、今回は特にそういったものはなかったので安心して沢ルートを進みました。
途中進んで行くと下から登ってくる人がいたので道の状況を尋ねてみると道が悪い部分があるけど通行できないわけではないそうです。ひとまず安心しました。
ほどなくして崩壊しているところを通過しました。確かに道の状態は悪いが通行できないわけではないといったところです。ここを渡ると三ノ沢に着きます。
こちらが三ノ沢です。水量は少ないですが、ちゃんと水は流れていました。すぐ隣の道が崩壊しているようには到底思えないほどのよい景色です。
さらに歩いていくとまた崩壊している箇所が現れます。
こちらも三ノ沢手前と同じように通行できないほどではないです。ここを渡ると二ノ沢に着きます。
こちらも水は流れていてよい景色です。三ノ沢から二ノ沢までは10分もかからないぐらいの距離です。ということは、一ノ沢までもそんなにかからないのでしょう。(※全く根拠のない完全なる願望です。)
しばらく歩いていくと謎の小屋に着きます。はじめは下の道に進もうとしましたが、どうも間違っているようなので小屋の横を通って抜けました。道らしきものはありますが、登りの道だったので不安に思っていたらこんな看板がありました。
なんだか不安になる看板ですが、一応この道が正解なようです。ここからしばらく道が分かりづらいので注意が必要です。
道に注意して進んでいくと下十枚山が綺麗に見える場所が現れます。
綺麗に見えますが、展望台のように目立っておらず、ぼーっと歩いていたら見逃してしまいそうですので見逃さないように注意が必要です。地図にも「下十枚山を垣間見る」と記載されていますが、本当に垣間見るといった感じです。ここまで十枚峠から1時間も経っていないと思いますが、かなり下十枚山が高く見えます。結構な急坂を下って来たんだと実感します。ここが最後の展望ということで惜しみながらも先に進みます。
展望スポット以降は単調な急斜面です。風景も人工の針葉樹林という感じで全く風景に変化が無く、集中力を欠きそうになります。このようなシチュエーションで事故が起きやすいので気を引き締めて進んでいきます。
また崩壊箇所があります。ここも注意すれば安全に通行可能です。崩壊箇所からしばらく進むと一ノ沢に着きます。
三ノ沢から二ノ沢までは結構すぐ着いたので二ノ沢から一ノ沢までもすぐ着くだろうと思っていましたが、全然そんなことはないので注意が必要です!今回はニノ沢から一ノ沢までは50分かかりました。ちなみに一ノ沢は水が涸れていました。三ノ沢、二ノ沢と比べて荒涼としています。
一ノ沢手前の道にこのような注意書きがあるように道の状態はかなり悪かったです。普段から落石しないように注意して歩いている自負がある私ですが、今回はどうしても落石と道を崩してしまいました。相当技術がないと落石、道の崩壊、砂埃などが免れない為、複数人で行く場合は距離をあけて進むのが良いと思われます。
写真ではあまりよく伝わらないですが、このような感じになっています。やっとの事で一ノ沢を通過する頃にはすっかり疲れてしまいました。しかし、一ノ沢を過ぎると道も穏やかになり、すぐに直登分岐まで戻りました。
ここまで来ればもう安心です。ちなみに、十枚峠から直登分岐までコースタイムでは1時間10分ということですが、道が悪いのもあって1時間30分ほどかかりました。ですので計画を立てる際には余裕を持った方が良さそうです。
直登分岐からは登る際に通った道を引き返します。登って来る時は急でキツいと感じた道です。下りは急ではありますが、道の状態が良いので比較的スムーズに下りることができました。
そして無事登山口まで戻って来られました。車まで戻る際には来た時に脅かされた犬がいるか心配でしたが、運よく犬に遭遇せずに戻ることが出来ました。非常に安心しました。
登山後記
熊と道の状態(と犬)が心配でしたが、無事戻って来られて良かったです。山自体は急登の連続ではありますが、その分効果的に高度を稼げるので余裕で日帰りできるぐらいの時間で南アルプス南部の山々を拝むことが出来ます。あまり知名度がない山ではありますが、かなりいい山なのではないかと思います。
この登山で南アルプスに対する憧れも強くなったので、来年こそは南アルプスに挑戦したいと思います。そして、南アルプス南部の山々を制覇したのちに再度十枚山に登って、今回とは違う想いで南アルプス南部の山々を拝みたいと思います。
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