概要
日時:2021年10月
南アルプス北部の主峰のひとつ、甲斐駒ヶ岳を黒戸尾根から登ってきました。黒戸尾根は「日本三大急登」のひとつで急な長い登りが続くことで有名です。
(ちなみに日本三大急登の残り2つは北アルプスのブナ立尾根、谷川岳の西黒尾根です。※諸説あり)
長い道で体力的にはしんどかったですが、紅葉を楽しむこともできるなど景色も素晴らしかったです。
登山レベル 高
コースタイム14時間超、標高差2000m超のロングコースなので体力に自信がない方は日帰りではなく七丈小屋に1泊する計画を立てるのが無難です。
また、途中には不安定なハシゴや岩場が数多くあり、コースが長いことも相まって難易度は高いと思います。
アクセス
黒戸尾根の起点は竹宇と横手の2つがあるのですが、今回は竹宇から登ることにしました。
尾白川渓谷の駐車場はきれいなトイレもあって車中泊に適した場所だと思います。
公共交通機関を利用する場合はJR中央本線「日野春駅」よりタクシーで20分程度でアクセスすることができます。
ルート
竹宇駒ヶ岳神社〜七丈小屋〜甲斐駒ヶ岳〜七丈小屋〜竹宇駒ヶ岳神社
コースタイム 14時間40分
甲斐駒ヶ岳登山記録
登るまで
日本百名山にも選ばれていることもあって甲斐駒ヶ岳は人気の山ですよね。甲斐駒ヶ岳に登る方の大半は北沢峠(標高2030m)から登るのではないでしょうか。
あまのじゃくな私は数年前も黒戸尾根から登ったことがあります。ただその時はテント泊で登ったというのと、天候があまりよくなかったということもあり不完全燃焼な感じでした。
日帰りロングコース登山を繰り返すうちに黒戸尾根も日帰りで行けそうな気がしたので挑戦することとしました。
登山開始
午前3時40分ごろから登山スタートです。当然辺りは真っ暗です。
駒ヶ岳神社、吊り橋を渡ったところから登りが続きますが暗い中なので無心でひたすら登ることができます。
1時間半ほど歩くと横手ルートとの合流地点に到着しました。5時過ぎでまだ辺りは真っ暗です。
「甲斐駒ヶ岳まで7時間」という看板に衝撃を受けます。実際にはかなり巻くと思うのでそんなにかからないでしょうが。
5時半ごろになると明るくなってきました。
朝日が眩しい。天候が良さそうで何よりです。
少し緩やかな笹が広がる道となってきました。
朝日も気持ちよくて歩きやすい道です。
少し登ると地蔵岳のオベリスクが鮮明に見える場所がありました。
地蔵岳は2764m、甲斐駒ヶ岳は2967mということなのであそこに見える場所よりも200m高い場所まで登らないといけません...
同じ場所からは富士山も見えました。鮮明に富士山が見られるのは南アルプスの良いところの一つですよね。
少し明るくなってきました。刃渡りまであと少しの雰囲気です。
6時過ぎ、刃渡りに到着しました!かなり切れたっている場所ですね〜。
日向山方面。奥には富士見市街と八ヶ岳も見えます。
鳳凰三山、富士山方面です。
山肌の紅葉が非常に美しい!!
刃渡りから先も厳しい登りが続きます。
急な岩場を鎖を使って登る箇所が出てきました。
6時30分頃、刀利天狗に到着!やっと標高が2000mを超えました!
この先は黒戸山の巻道を進みます。一旦少し下らないといけないのが精神的に辛い...
7時過ぎ、5合目に到着しました!
5合目からは正面に甲斐駒ヶ岳がデカデカと見えます。まだまだ厳しい登りが続きそうですね。
5合目から先しばらくは梯子や鎖場が続きます。足元が悪い場所が多かったのでヒヤヒヤしました。
なかなか険しい道です。以前テントを担いで登りましたが、二度とやりたくないです。
紅葉がちょうどいい時期で天気も良かったので気分的には楽でした。(もちろん体力的には結構しんどい)
高所恐怖症の人には怖い橋。私も昔はひどい高所恐怖症でしたが山に登っていくうちに慣れました(笑)
右手には八丁尾根が見えます。大岩山から八丁尾根経由で甲斐駒ヶ岳に登る変態もいるみたいです。
ほぼ垂直にかけられた梯子を登ります。高所恐怖症の人は絶対に下を見てはいけないです。
右手には鞍掛山がよく見えます。鞍掛山も甲斐駒ヶ岳の眺望が良い山で素晴らしかったです!興味があれば以下の記事もチェックしてみてください!
まだまだ梯子は続きます。テント泊の荷物を持って梯子の連続はバランスを崩す危険があるので軽装で日帰りの方がいいのではないかと改めて思います。
やっとのことで七丈小屋に到着しました。7時40分頃だったので登山開始から4時間ぐらいかかりました。
小屋は2棟あり、水場もあります。
時間とお金に余裕がある方は無理せず七丈小屋に宿泊して登るのがいいと思います。
七丈小屋からは展望が素晴らしいです。
鞍掛山方面。標高2037mの鞍掛山よりもかなり高いところまで登ってきたんだなと感じます。
北方面には八ヶ岳もよく見えます。また、手前に見える山頂付近が白くなっている山が日向山ですね。
テント場はそれほど広くはないです。小屋と水場まで5分ほど距離がある点には注意が必要。
小屋まで来ると昔甲斐駒ヶ岳に登った時の記憶が蘇ってきました。隣のテントのおじさんに日本酒を奢ってもらったのは良い思い出です。
岩壁を鎖を伝って登ります。
登っていくと右手に鋸岳が見えてきました。実際やばい山らしいですが、見ただけでかなり危険そう。
正面を見るたびに思うことですが、山頂までまだまだ登らないといけない。
やっと森林限界を超えた感があります。森林限界を越えるまで長いのが南アルプスの辛いところですね。
8時45分、8合目御来迎場に到着!山頂方面がガスってきた気がします。
10分ぐらい登るとまた猛々しい山肌が見えてきました!ガスは一過性のものでひと安心。
すごい傾斜の岩がありました。落ちてこないか心配になります。
岩場が多くて楽しい。
(右から)北岳、早川尾根、鳳凰三山が見えます!まさに壮観!!
紅葉と山頂。いい時期に登ることができました。
謎の剣とその奥には鳳凰三山、富士山。
山頂まであと少しっぽい雰囲気はありますが、高所と急な登りで息が苦しい...
鋸岳(標高2685m)もずいぶん低い位置に見えるようになってきました。
あと少し...!!
北沢峠からの道との合流地点。黒戸尾根はさほど人が多くはありませんでしたが、北沢峠から登ってくる方は結構いました。
仙丈ヶ岳がよく見えるようになってきました!
10時前に山頂に到着しました!登り始めから6時間20分ぐらいかかりました。
山頂には祠もあります。
天気も良いことですし、山頂からの景色を楽しみましょう!
仙丈ヶ岳。北沢峠から甲斐駒ヶ岳とセットで登ることができる山です。
早川尾根と北岳、間ノ岳方面。そろそろ北岳もいってみたい!
鳳凰三山と富士山。雲がわき始めてきましたが、ギリギリ富士山を見られてよかったです。
鋸岳から続く道。ここから登ってくる人も稀にいますが皆さん強者の雰囲気を携えていました。
八ヶ岳方面。裾野が広がっている様子を見られるのが好きです。
中央アルプス方面も見えます!
前回登った時は全く眺望が得られませんでしたが晴れていたら景色は格別でした!
この日は暖かく気持ちのいい気候だったので山頂で30分ぐらい休憩していました。
下山は登ってきた道を引き返すだけですが、帰りも長い道なので覚悟が必要ですね。
甲斐駒ヶ岳はフォルムがかっこよくて改めて好きになりました。
帰り道も長いですが急な岩場、鎖場、梯子など難所が多数あるので気を抜くことはできません。
紅葉など景色が良いのが救いです。
ところどころ展望が開ける場所もあります。
標高が下がって樹林帯に入ってからが長かったです。暗いうちに無心で登ることで如何に標高を稼ぐことができるのか実感できました。
なんとか下山できました!かなり割愛しましたが非常に長い下りでした...
3時40分に登り始め、下山したのが14時40分頃だったので休憩含めて11時間ぐらい行動していたことになります。
登山後記
長く厳しい道でしたが日帰りでいけないことはないかなという印象でした。(もちろん体力は必要ですが...!)
甲斐駒ヶ岳はかなり人気の山ですが、かっこいい山容、山頂からの景色、アクセスの良さ、(黒戸尾根の急登)など魅力的な点が多数あって人気なのも納得です。
黒戸尾根を日帰りで登るなら、事前にコースタイム12時間ぐらいの山に登って練習をしておくのが良いのではないかと思います。
個人的には今度は早川尾根を経由して登ってみたいと思うようになりました。またいつか登ります!
それではまたっ!
(参考)
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