概要
日時:2021年6月
青森県の八甲田山に登ってきました。八甲田山は火山性の連峰で、大きくは北八甲田山と南八甲田山に分かれています。
一般的に八甲田山と言われるのは北八甲田山の最高峰の大岳ことを指し、山頂からは北海道までの展望が楽しめます。
登山レベル 中
コースタイムは4時間30分と比較的短く道もよく整備されていますが、渡渉や雪渓の登りがあり注意が必要です。
アクセス
登山の起点は酸ヶ湯温泉の駐車場
東北自動車道「黒石IC」より約45分です。
公共交通機関でのアクセスですが、JR青森駅よりバスも運行されています。
酸ヶ湯温泉までのアクセスの詳細は酸ヶ湯温泉のHPにも記載されていますのでご確認ください。
ルート
酸ヶ湯温泉駐車場〜仙人岱〜八甲田山〜毛無岱〜酸ヶ湯温泉駐車場
コースタイム 4時間30分
酸ヶ湯温泉より反時計回りの周回です。時計回りより反時計回りの方が良いように感じました。
八甲田山登山記録
登るまで
東北の山は以前から好きなんですが、遠くて行くのが難しいのが難点ですよね。
この日は本来は北岳方面に行こうかと思っていたのですが、天気予報を見る限り東北北部しか晴れそうにないという状況でした。
じゃあ、八甲田山まで行くか!
と謎の勢いで八甲田山まで行くことにしました。
私の住んでいる静岡県から八甲田山までは片道で約950kmあり、全て高速道路を用いても休憩含まず10時間以上かかってしまいます。分かっていましたがやはり遠いですね。
どうせ移動に1日かかるのなら、下道を使ってゆっくり移動を楽しもう!
ということで、青森を目指して木曜の21時頃に家を出ました。大まかなルートは以下の通りです。
静岡〜山梨〜(雁坂トンネル)〜埼玉〜群馬〜(関越トンネル)〜新潟〜山形〜秋田〜青森
カッコ内のトンネル区間のみ有料道路を利用してその他の区間はすべて一般道です。
そして酸ヶ湯温泉に到着したのが土曜の午前1時。なんと28時間もかかりました。移動だけでかなり疲れたので車中泊でもぐっすり眠れました(笑)
登山開始
おはようございます。天気が良さそうで何よりです。
5時30分頃では駐車場はかなり余裕がありました。
酸ヶ湯温泉の駐車場は100台以上停められるぐらい広く、きれいなトイレもあります。
仙人岱方面の登山口は駐車場からすぐです。
はじめは緩やかな登りです。酸ヶ湯の標高が890mなのでいくら青森といえどまだ樹林帯ですね。
樹林帯の中でも綺麗なピンクのシャクナゲを見られてテンションが上がります。
八甲田山は花が豊富なことでも有名ですが、今回登った6月末は花を見るのにちょうどいい時期だと思います。
道はよく整備されており、注意していれば迷いそうなところはありません。
八甲田山は火山なので有毒ガスが発生しているそうです。酸ヶ湯温泉の駐車場でも硫黄の臭いが漂っていました。
立ち枯れの珍しい風景も見られました。よく分かりませんが噴火や火山ガスの影響なのでしょうか。
途中には頻繁にこのような標識があるので精神的にも歩きやすいです。
徐々に高山植物が見られるようになってきます。
よく見る花ですが、ツツジは可愛らしくて好きです。
30分程度登るとやや展望がひらけてきて南八甲田の方が見えるようになります。
まだ標高は1000mぐらいですが雪渓も現れてきます。6月末の感じだと一応軽アイゼンぐらいは持っていってもいいと思います。(今回の登山を通して私は使いませんでしたが)
標高を上げていくと一気に展望がひらけます。
こちらはウラジロヨウラク。小さくて可愛らしいお花です。
樹林帯を抜けて一気に火山の様相を呈してきます。
展望もよく、岩木山までよく見えます。
沢沿いの岩がゴロゴロしているところを登ります。
この辺りは火山性ガスが濃いです。看板にも書かれていますが硫黄の匂いがキツくなってきたのが分かります。
あまり立ち止まらない方がいいですが、高山植物が綺麗なのでつい立ち止まって鑑賞してしまいます。こちらはイワカガミ。小さく可愛らしいです。
こちらはゴゼンタチバナ。真夏にはあまり見ることができないお花がたくさん見られます。
この沢は地獄湯の沢と言われていますが、かなり急な谷を形成していることがよく分かります。
こちらはウラジロナナカマド。涸沢をはじめカール地形でよく見られるお花です。
次第に火山から湿原へと雰囲気が変化していきます。
湿原エリアになるとさらに高山植物が豊富になってきます。
代表的な高山植物チングルマ。
こちらの写真のように至るところにチングルマが咲き乱れていました。
こちらはミヤマキンポウゲ。写真では良く分かりませんが、花びらに金属光沢があるのが特徴です。
仙人岱に到着。大岳がよく見えます。
こちらは小岳、高田大岳方面。
仙人岱避難小屋に寄り道しました。展望とかは特にないこじんまりとした小屋でした。
仙人岱と避難小屋の間ではショウジョウバカマも見ることができました。
仙人岱に戻ってきて大岳方面へと進んでいきます!
サクラのような花も咲いていました。
仙人岱から大岳分岐まではすぐです。
大岳方面はかなり雪が残っていました。天候次第では凍結している可能性もあるので念のため軽アイゼンを携行することをおすすめします。
雪渓を抜けると再度樹林帯の登りとなります。
ある程度登ると南側の硫黄岳や南八甲田山がよく見えます。
硫黄岳の稜線を境に西側斜面にはトドマツ林がきれいに広がっていることが分かります。東側斜面は残雪が多いためトドマツが生育することができないそうです。
森林限界を完全に超えました。ここから先も高山植物がたくさんあります。
チングルマの果穂。花が散った後も美しいですね。
こちらはミヤマオダマキ。紫と白の絶妙な色合いが美しく人気のお花です。
こちらはハクサンチドリ。鮮やかな赤紫色が特徴的です。
鏡沼に到着。爆裂火口に水が溜まったもので、モリアオガエルなどの産卵地になっているそうです。標高は約1500mで青森県で最も標高が高い両生類の産卵地だそうです。
こちらはオニシモツケ。日本海側に多く見られる種類です。
こちらはツマトリソウ。日本だけでなくアメリカ、ヨーロッパ、シベリアなどにも幅広く分布します。
イワカガミは何度見ても可憐です。こんなに美しいのに初夏にしか見られないのが残念です。
山頂が近くなってきた感じがします。高山植物を鑑賞しながらゆっくり登ってきたので全然疲労感がありません(笑)
あと少し...!!
山頂に到着!!スタートから2時間ぐらいでした。
山頂はかなり広いです。
山頂には一等三角点もあります。
休憩しながら山頂からの展望を楽しみましょう。
東側の高田大岳方面。
こちらは南八甲田方面。
西側には岩木山もよく見えます。
北西方面には毛無岱、青森市街、青森湾とその先にはうっすらと北海道まで見えます。
高山植物が目的だったため展望についてはあまり気にしていませんでしたが、展望も素晴らしいですね。
つい勢いで来た八甲田山で本州の北端や北海道まで見ることができて感慨深いものがありました。
山頂からの眺望をずっと楽しんでいたいところですが帰れなくなってしまうため20分程度休憩したのちに下山することとします。
急な雪渓の下りがありました。こちらも天候次第では凍結している可能性がありそうです。
大岳避難小屋に到着。
こちらが井戸岳、赤倉岳方面。今回は時間の都合上行けませんでしたが火口をみたければ登ってみても良いかと思います。
毛無岱方面へと下山していきます。
宮様分岐あたりまで下るとまた湿原が広がります。木道の脇には一面のお花畑です。
ここにもウラジロヨウラク。日本海側によく生育するようです。
こちらはイワイチョウ。雪田や湿地に生育します。
湿地帯は周囲の風景が素晴らしく、歩いているだけで楽しいです。
ワタスゲが咲き乱れていました。
木道の脇にはチングルマの果穂もたくさん見られました。
こちらはアカモノ。小さくて可愛らしいお花です。
急な長い階段を下ります。眼下に広がっている湿原一帯が毛無岱です。この階段を登るのは辛そうなので反時計回りのルートで良かったです。
毛無岱に到着!これぞ高層湿原というような素晴らしい風景です。
木道の脇にはお花畑が広がっています。
シャクナゲ
ワタスゲ
コバイケイソウ
名残惜しいですが、お花畑ともお別れです。なかなか味わうことのできない風景を楽しむことができたので大満足です。
樹林帯に差し掛かり、木でできた階段を下っていきます。
樹林帯に入っても植物はたくさんあります。こちらはオオバキスミレ。
城ヶ倉分岐まで来ました。直進して酸ヶ湯方面に下山します。
最後にきれいなお花も見られました。
無事下山しました!休憩込みで合計4時間半ぐらいかかりました。
登山口の駐車場までは2〜3分ぐらい歩きます。
登山口の駐車場はかなり広いですが、下山した頃にはほぼ満車になっていました。
登山後記
自宅から八甲田山まではかなり遠かったですが、天候も良く高山植物も豊富な時期だったのでわざわざ行った甲斐がありました。
東北の山の池塘や湿原などの雰囲気が好きなんですが、八甲田山も東北の山らしい良さがありました。少し遠いですが東北の山が好きな方にはぜひ行ってほしいです。
東北の百名山も残すところあと岩手山の一座のみとなりました。これからは東北の200名山、300名山あたりにも挑戦してみようかと思います。
それではまたっ!
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