概要
日時:2020年9月
北アルプスの笠ヶ岳に登ってきました。以前から笠ヶ岳は行ってみたいと思ってはいたんですが、体力的に登ることができるか不安でなかなか挑戦できずにいました。
今シーズンは笠ヶ岳に登るのを最終的な目標として長時間のコースを複数登ってきて、今回の笠ヶ岳が集大成となりました。
登山レベル 高
危険な箇所はありませんが、とにかく行程が長いです。
コースタイム10時間程度を難なくこなせるぐらいの体力がないなら挑戦は厳しいと思ってください。
アクセス
登山の起点は新穂高温泉。
無料駐車場もあるみたいなのですが、私が到着した頃には無料駐車場にはロープが張られていて入ることができませんでした。
仕方がないので新穂高ロープウェイの駐車場に駐車することにしました(料金は6時間あたり500円)。合計17時間ぐらい駐車したので1500円でした。ちょっと高い気がしますが、観光地だと考えるとまあそんなもんかなあと思います。
新穂高温泉まではバスでアクセスすることも可能です。新穂高〜平湯温泉〜高山というような運行ですが、平湯温泉からは松本や新宿方面へもバスが出ているので平湯温泉で乗り換えることで東京方面からのアクセスも可能です。
時刻表などの詳細は濃飛バスのHPをご確認ください。
ルート
新穂高温泉〜登山口〜(笠新道)〜杓子平〜笠新道分岐〜笠ヶ岳〜笠新道分岐〜杓子平〜(笠新道)〜登山口〜新穂高温泉
コースタイム 15時間
笠ヶ岳登山記録
登るまで
笠ヶ岳に登りたい!
登山が好きな人でもそう思っている人はあまり多くはないんじゃないでしょうか。
笠ヶ岳は北アルプスの中ではあまり人気な山ではありませんが、眺望が素晴らしいとの評判がありずっと登ってみたいと思っていました。
実は今回は笠ヶ岳ではなく焼岳に行こうと思っていたのですが、途中の道を間違えて安房峠を抜けて岐阜県側の平湯まで来てしまったのでせっかくなので笠ヶ岳に登ることにしました。
新穂高温泉に着いたのは22時頃。結構人が多くて賑わっていました。一応無料駐車場もあるとのことだったのですが、無料駐車場にはロープが張られていて入ることができず、仕方ないので有料の新穂高ロープウェイの駐車場に駐車しました。
諸々の準備を済ませて22時30分ぐらいに寝る準備をしました。車中泊の際は結構寒いので防寒着や毛布などを忘れないように注意しましょう。
起きたのは3時頃。まだ外は真っ暗ですが、登山客がちらほら歩いていました。私も準備をして3時30分に出発しました。
登山開始
はじめは左俣林道を歩いていきます。左俣林道は以前、雲ノ平方面から縦走して下山した際に歩いたことがあり、その時は非常に長くて嫌になった記憶があったのですが、夜明け前に登りで歩くには安心して歩くことができて良い道です。
1時間程度歩くと笠新道の登山口が見つかります。まだあたりは真っ暗で登山口を見つけられるか心配でしたが、結構立派な登山口なので簡単に見つけることができました。
いきなりかなりの急登が続きます。さすが笠新道。
笠新道分岐まで標高差1360m、平均斜度は16.2°とかなりの急登です。急登マニアからも一目置かれている急登を登ることができて感無量です。
9月で涼しいからまだマシですが、8月の暑い時期にここを登るのは結構辛いだろうなと感じます。
登山口から1時間程度歩いていくと夜が明けてきます。東側には穂高岳がよく見えます!
さらに登っていくと穂高岳の全貌を見ることができました。山の中腹には雲がかかっていますが山頂付近はよく晴れていそうですね。笠ヶ岳も天候が期待できます!
そう思って歩いていくとガスってきました。登りは依然として急なのでガスって視界が悪いと精神的にかなり辛いものがあります。
新穂高温泉方面。奥に雲の上から顔を出している山が焼岳、乗鞍です。本来だったら焼岳に登っているはずだったのになんでこんなところに来てしまったのか...
ここからは視界がかなり悪くなり、急登はまだまだ続きます。「焼岳に行っとけば良かった」と思ってしまうぐらい精神的にくるものがあります。
標高2100M地点まで来ることができました。槍・穂高の眺めが一望できるそうです。
槍・穂高の眺めが一望できるそうです...(晴れていれば)
まだ雲の中にいるから曇っているだけで、もっと登っていくと雲の上に行けるであろうことは分かっていますが展望が全くないのは辛いです。
この辺りから道の雰囲気が変わってきます。岩場が多くなってきて木の背丈も低くなってきます。
晴れていれば眺望がいいんだろうな〜
と思っていたら雲を抜けた感が出てきました。朝日も差し込んできて幻想的な風景です。
青空が広がってきました。いい天気が期待できます!まだまだ登りは続きますが頑張れそうな気がします!
雲海と穂高岳。ここまで急登でかなり疲れたのでいい景色を見ながら休憩しました。
やっと槍ヶ岳も見えてきました。穂高岳〜槍ヶ岳の稜線を一望できて最高です!
まだまだ急登が続きますが、そろそろ杓子平に到着しそうな雰囲気になってきました。あとひと踏ん張りです。
杓子平に到着!
笠ヶ岳が姿を現します。まだまだ遠いですが雄大で素晴らしい!
こちらはこれから登っていく道。非常に雰囲気のいい道です。
ここまでかなり辛かったですが、頑張って登ってきてよかったです。
ここからもまだまだ先は長いです。杓子平で一休みしたら頑張って登っていきましょう!
杓子平からしばらくはやや平坦な道となります。ここまでかなりの急登だったこともあり、
ここはオアシスなのか...
といったような感じです。
そう思っていたのも束の間、また急な登りが始まります。笠ヶ岳はそんなに甘くはありません。
ただし、先ほどの登りと違って風景が最高なので精神的にはそんなにしんどくはありません。
(体力的にはかなりキツいので頻繁に休憩しながら景色を楽しんでいました。)
振り返ると焼岳、乗鞍、御嶽方面がよく見えます。
道を間違えて笠ヶ岳に登ることになってしまったわけですが、こんな天気の良い時に焼岳じゃなくて笠ヶ岳に来ることができて良かったと思います。
笠新道分岐に近づいてくると傾斜はますます急になってきます。
標高も2600m近くなってきて空気も薄くなってくるのが分かります。
少し登るだけですぐに息が上がってしまいます。私は体力を使い果たしてしまわないようにゆっくり登っていたのですが、たくさんの人に抜かされました。
さすが笠ヶ岳に来る人は健脚ばっかりです。私もそれなりに体力には自信があったのですが、超人をたくさん見て少し自信を失ってしまいました。上には上がいるもんですね。もっと精進しなくては!
そうこうしていると、笠新道分岐に到着しました。
ここまで来ると笠ヶ岳が一望できます。笠ヶ岳に続く稜線は非常にカッコいい!
稜線上に出てきたので北側も見えるようになりました。黒部五郎岳と薬師岳がデカデカと見えます。
これらの北アルプスの奥地にある山々を間近で見ることができて最高です!
最高の景色を見ながらまた休憩します。天候も大丈夫そうだし、ここまで来たらゆっくりと思う存分楽しまなきゃ損です。
笠ヶ岳に向けて再出発します!しばらくは緩やかに下っていきます。
笠ヶ岳はまだまだ遠いように感じますがあとコースタイムによると1時間少々で到着するようです。にわかに信じられません。
これぞ北アルプス!というような道です。今年は北アルプスに来ることができないかもしれないと思っていましたが、なんだかんだあって来ることができて良かったです。(ちなみに8月には唐松〜五竜縦走もしているので今年2回目です。)
結構歩いてきましたが、まだまだ遠いです。笠ヶ岳に近づいていくにつれ、笠ヶ岳のデカさに圧倒されます。
笠ヶ岳の直下まで来ると傾斜がかなり急になってきました。
小屋までは岩場を登る感じになっていましたが、息が切れてしまいます。近いけど遠い...
岩に「ガンバレ」と書かれていました。諦めかけていたところに温かい言葉で励まされ、力が湧いてきました。
なんとか笠ヶ岳山荘に到着しました!
笠ヶ岳まではあとわずか。下りてきた人曰く10分ぐらいで登れるとのことでした。
笠ヶ岳山荘を後にして山頂へと向かいます。
かなりの急登となっていてなかなか登ることができません。息が切れてしまうので立ち止まって休憩。
振り返ると小屋の後ろには黒部五郎、薬師岳、雲ノ平、立山、水晶岳、鷲羽岳など素晴らしい展望です!
山頂の手前には祠がありました。
ここまで来ると山頂はすぐそこです。
笠ヶ岳山頂に到着!ずっと登りたいと思っていただけに感慨もひとしおです。
3時30分から登り始めて山頂に到着したのが9時40分だったので休憩込みで6時間10分かかったことになります。長かったですが、もっとかかるのを覚悟していました。
山頂からの展望を楽しみましょう!
こちらが北方面。黒部五郎、薬師岳、雲ノ平、立山、水晶岳、鷲羽岳などが一望できます。
以前、折立〜薬師岳〜雲ノ平〜水晶岳〜鷲羽岳〜新穂高温泉というロングコースの縦走をしたことがあり、その行程を見ることができて感慨深いものですね。その時に見た笠ヶ岳が忘れられなくてずっと笠ヶ岳に登りたいと思っていました。
こちらは稜線と槍ヶ岳、穂高岳方面です。
そういえば槍ヶ岳と穂高岳は行こう行こうと思いながらなかなか行っていませんね。だってどう考えても人が多そうじゃないですか。個人的には槍ヶ岳や穂高岳よりも黒部五郎岳の方が行ってみたいんですよね。
山頂を満喫したので下山します。来た道を引き返すだけですが、下山も長いので気を引き締めていきましょう!
稜線上には抜戸岩というスポットがあります。大体笠新道分岐と笠ヶ岳の中間地点ぐらいです。
抜戸岩の間から見た笠ヶ岳。
さらに稜線を進んでいくと、次第に雲が多くなってきます。
まだ10時台ですがこれぐらいの時間になってくると雲が多くなってくるものです。やはり早朝に登るに限ります。
もうすぐ笠新道分岐。どんどん雲が多くなってきます。
笠新道分岐に到着。黒部五郎方面もこれで見納めです。といっても雲が出てきてあまりよく見えません。
ありがとう笠ヶ岳!良い山でした。
また登りた...くはありませんね。良い山だったのは間違いないですが、如何せん登るのがしんどいのでしばらくは遠慮しときます。
笠新道分岐から杓子平までの下りはかなり急です。よくこんなところ登れたなあと思います。
登りの時は焼岳、乗鞍方面がよく見えましたが、下山時には雲がかかっていて見えなくなってしまいました。
杓子平に到着!青い空と白い雲と緑の山肌、非常に美しい風景です。
笠ヶ岳方面が見えなくなってしまうのは名残惜しいですが、泣く泣く下山することにします。
杓子平から下っていく道では槍ヶ岳と穂高岳方面がよく見えます。
道は急ですが景色を楽しみながら下山できるので疲労感はあまりありません。
中間地点ぐらいまで下っていくと次第に槍ヶ岳や穂高岳も見えなくなってきます。
そのあとはひたすら長い急な下りです。頑張りましょう。
川の音が大きく聞こえてくると登山口は近いです。
無事、登山口まで下山することができました!長く辛かっただけに達成感が半端ない。
登山口には水場があるので水を飲んだり顔を洗ったりしました。
ここからはひたすら長い林道歩きで新穂高温泉の駐車場を目指します。
きれいな川。普段都会で生活しているとこのような景色を見ることはなかなかないですよね。
これがおそらく中崎橋。橋が傾いているため通行注意と書かれていましたが、通った感じではそんなに傾いているようには思わなかったです。
この左俣林道は今朝暗いうちから歩いていた道ですが、非常に歩きやすい道ですし分岐の箇所には案内標識があるので夜明け前でも迷わずに歩くことができました。
ということで新穂高温泉まで戻ってくることができました!お疲れ様でした。
登山後記
笠ヶ岳は非常に長く辛いコースでしたが、それだけ苦労して登った甲斐があるぐらい良い山でした。北アルプスの雰囲気が好きな方には是非ともおすすめできる山です。
ただし、かなり体力が必要なのでコースタイム10時間を超える登山で練習しておくことを推奨します。
ちなみに私は今年、唐松岳〜五竜岳縦走(コースタイム13時間)や空木岳往復(コースタイム13時間ぐらい)で練習したのちに笠ヶ岳に登ったのですが、笠ヶ岳はこれらの登山と比較してもワンランク上の疲労感がありました。
(参考)
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